インコの日常-第1章 第1節 食欲の悪魔編-
あれは、秋天一碧の下、家族でニューヨークまで外食しに行った日のことだ。
私は、目の前に広がる光景に思わず目を疑った。
ペレットとシードのスペシャルモーニングを貪る私を前に、主人は肉厚たっぷりのハンバーガーを食べ始めたではないか。
刹那、私の脳裏をよからぬことが過る。
次の瞬間、私はおもむろにゲージを抜け出し、ハンバーガーに齧り付こうとした。
が、あと一歩のところで主人に見つかり、犯行は未遂に終わった。
私は当時、なぜあのような行動を取ったのか。
真相は不明だが、それはきっと生物としての本能だろう。
食欲という名の悪魔には逆らえないのだ。
インコの日常 食欲の悪魔編-完-